近年、下請けや孫請けの会社による所謂ピンハネが問題視されており、現場作業員に十分に報酬が行きわたらなくなっていることについて解説していきたいと思います。
※中抜きという言葉が使われることもありますが本来の意味ではないため今回はピンハネという文言で統一します。
労働者に賃金が正常に支払われない
ピンハネが横行してしまうと、労働者に賃金が行きわたりません。
例えば福島原発事故は危険手当として放射線量や防護服によって単価に加算して企業に支払われています。
しかし、下請けや孫請けの多重請負の構造になっていると実際に身を危険を侵している現場作業員には微々たるお金しか入らないことが少なくありません。
そのために実作業をする人がなかなか集まらなかったり、どこにも雇ってもらえないような層の人が作業にあたるなど負のスパイラルに陥ります。
元請け会社のみが潤う形になるため、労働者から嫌われる存在になりがちです。
問題発生時の責任はどこがとるのか
法律で受注内容を下請けに丸投げをするという行為は禁止されています。
そのために中間会社では実質は現場の下請けに丸投げなのに責任者という役職で現場に文句しか言わない人がいる会社もあります。
そのような事例は建設現場には多いそうです。
近年ではCOCOAというアプリの不具合が問題となり、厚生労働省から3億9000万円の予算で委託したにもかかわらず不具合が発生し、それを放置していたため素人が開発したなどの批判が相次ぎました。
元々個人プロジェクトであったCOVID-19Radarというオープンソースを使用して元請け会社が委託した下請け会社がベースとして使用していました。
COVID-19Radar側で不具合があってもCOVID-19Radarを咎めるのはお門違いであり、テストを行わなかった厚生労働省と元請け会社と下請け会社全ての責任になります。
COCOA開発の下請け会社もオープンソースを使用していることから開発費もかかっていないということでも批判の的になりました。
3億9000万円の予算はもちろん会社側のピンハネとして消えました。
品質が悪くなる
昨今の東京オリンピックでは選手村に対し外国人選手が「冷蔵庫がない」「テレビがない」「お弁当が値段のわりにしょぼい」のようなクレームがあったようです。
このようなこともピンハネの影響と言われています。
予算が十分確保されていたのに元請け会社のピンハネで予算が減ってしまい品質が落ちてしまいます。
そのために材料などのコストを削減せざるを得なくなり、最終的に提供されるものの品質が低下してしまうことが起こりえます。
そのために、建設業界を例にだすのであれば依頼する建設会社を探す際に、ホームページで実績管理をしていたり、重機を所持していたりしている等、下請け体質でないことを確認することが重要と言われています。
派遣会社はピンハネ会社?
派遣会社は委託会社が社員を増やすリスクを抑えるために派遣会社に依頼し、派遣会社から送られてきた派遣社員に委託会社と同じ仕事をさせるということで利益を上げています。
つまり派遣会社は派遣社員の給料をピンハネして利益を上げている形となります。
しかし、派遣会社は派遣社員からピンハネしているから悪というわけではなく、派遣社員だからこそ仕事が見つかったり、やりたい仕事ができたりと派遣社員側にもメリットがあります。
3年派遣社員で働くと委託会社のほうで正規雇用としてもらえるメリットもあります。
残念ながら契約満了の前に雇い止めをされてしまい、転職を余技なくされた人もいるのにまた事実でもあります。
まとめ
大量のピンハネは企業のイメージとして悪いですが、基本的にはお互いの会社がWINWINになる仕組みになっています。
問題としは労働者に対して適当な対価が支払われているのかどうかと思います。
ピンハネが横行して最終的な予算を確保できない業種はさすがに国力低下につながるのではないでしょうか。
派遣会社については派遣会社側も営業をしてくれていれたり、労働者が働くための下地を作ってくれている形になります。
派遣会社で働くのが嫌であれば最初からその委託会社のほうに正規雇用として雇ってもらえばいいだけの話ですし、それができないのであれば諦めるか派遣会社を使用するしかありません。
ピンハネは法律を守っているため問題はありませんが、過度なピンハネを横行してしまうと国民から非難の的となり会社の評判も落としかねません。
中間会社は必要で、ピンハネがなければ作業を終えられないし、ピンハネしなければ税金分マイナスになるだけです。